「塩谷哲 井上陽介 DUO」
日時:2010年10月16日(土)19:10~21:49(休憩24分)
会場:山口県下関・Jazz Club BILLIE
出演:塩谷哲、井上陽介
演奏曲目
| 曲名 | 作曲者 | 収録アルバム | |
|---|---|---|---|
| 01 | Morning Bliss | 塩谷哲 | 「EARTHEORY」 |
| 02 | Delicious Breeze | 塩谷哲 | (未収録) |
| 03 | Bud Powell | Chick Corea | Chick Corea「Remembering Bud Powell」 |
| 04 | To Be Stars | 井上陽介 | 「EARTHEORY」 |
| 05 | Ladies In Mercedes | Steve Swallow | 「EARTHEORY」 |
| (休憩) | |||
| 06 | Soft Cookie Walts | 井上陽介 | 井上陽介「LIFE」 |
| 07 | All The Things You Are | Jerome Kern | 1939 Original Broadway Cast 「Very Warm For May」 |
| 08 | Walk Alone | 小曽根真 | 「solo piano = solo salt」 |
| 09 | Deep Affection | 塩谷哲 | 「EARTHEORY」 |
| 10 | Mr.Madonna | 塩谷哲 | 「solo piano = solo salt」 |
| (アンコール) | |||
| 11 | Heat Of Mind | 塩谷哲 | 「Wheelin' Ahead!」 |
| 12 | A Little Lullaby | 塩谷哲 | 「SALT III」 |
感想
私にとっては5か月ぶりのライブ。こんなに空いたのは久しぶりです。
トリオではなく陽介さんとのデュオという珍しい編成!
(サイン会でソルトさんは「今日はエア山木でやったよ」と言ってました)
これは(私には未踏の地の)下関であろうと、どこであろうと、いつであろうと、行かなくてはいられません。
「Jazz Club BILLIE」はいいホールでした。まさに長方形のシンプルなホール。
「ピアノがアップしたてでちょっと苦労した」これもサイン会でのソルト談ですが、そんなことには私は気づきませんでした。
私はお店のシステムがわからずにあまり飲み食いできませんでしたが、次からは大丈夫でしょう。
さて、結論から言うと「行ってよかった!いいもんを見させて(聴かせて)もらった!」です。
2人の信頼関係はもう確固たるものだと再確認。
(最後が合わなかった曲もそういえばありましたが、まあそれはご愛嬌で。ちなみにその曲、エンディングだけやり直しました!)
ソルトさんが自由にどこに行っても陽介さんはついていくし、陽介さんは最初はおとなしめだったものの後半になるとベースをくるくる回し出し、連られてソルトさん自身も回り出し、交通整理役の山木さん不在の下ではこうなるのか?と。
「なんでこうなっちゃうんだろ!?」
この日は曲が終わるたびソルトさんはこの言葉をよく発しました。
楽しく演奏している2人。その楽しさが伝わってきて聴く側も楽しくなって、それがまたステージに伝わって楽しさ増幅。ライブの真骨頂ですね。
「エア山木」状態はもちろん寂しかったですが、ですが、いなきゃいないなりにこの方たちは十二分にやってみせてくれるのです!
あらためて思うと、すごい人たちですね。
陽介さんが支えるリズムがいつもよりよく聞こえて(ドラムがないのだから当たり前ですが)新鮮でした。
ソルトさんはリズムを請け負う場面もあったものの、ほぼ普段通りという印象でした。
ご本人もサイン会で「ほとんどトリオのときと同じだったような...」と。
ひょっとして私たちみんなが本当に「エア山木」を感じていたのかもしれません。
これで実績ができたので、2人での演奏の機会「も」増やしていってほしいな。
【曲別感想、おおよそのMC項目】
19:10、予定より少し遅れて真っ赤なシャツのソルトさんと、陽介さんがホール後方から客席を通って登場。
MC
・何をやるか全然決めてません
まずピアノだけで即興演奏。
低音が響きドラマチックでした。
ブレスがあってスローにリスタート。
その音でソルトさんの世界に引き込まれていきます。
イントロに入ってベースがフレーズをアンサー。
今日はデュオなんだなあと実感。
ドラムなしなのでベースの音がよく捉えられるような気がします。
初めて聴くピアノのフレーズもありました。私にとって、ですけど。
この曲らしく、優しくエンディング。
一転してリズミカルなピアノ。
だんだんはじけていきます。
この曲はCD化されていないので、ライブが貴重な機会です。
これを聴きに来たかったのも遠征した大きな理由。
今日はちょっとゆっくりめで大人な雰囲気かな。
ボンボンボン、と響くベースが耳に残って心地いい。
展開に入ってピアノの刻まれる音が多くなってきます。
陽介さんも遊び出しました。
乗ってきた2人。こちらもウキウキします。
こういう、なんか楽しくなれる曲なんです。
ソルトさんは弾きながら声が出ています。
歌ってるような、唸ってるような。
(この日は他の曲でも随分唸ってました)
陽介さんは前傾姿勢になって両手で低い位置を弾いています。
トリオではピアノとドラムのかけ合いのところ、この日はベースとのかけ合いになりました。
長かったり、短かったり、おもしろかった~。5回続きました。
エンディングに向けて最後のメロディ。
終わってしまうのが惜しいです。
ピアノがはじけた後に浮かび上がってくるベースのボンボンボン・・・。
最後、ソルトさんがピアノの枠を小気味よく叩いて終わるのが常でしたが、今日はそこをピアノで弾いてエンド。
MC
・クラシックっぽいテンポ感でしたね。
・1曲目の「ブリス」は「至福」、2曲目の「ブリーズ」は「風」という意味です。
ソルトさんが弾き出すと陽介さんが笑いました。
次はこれか、という意味だったのかな?
軽やかなピアノ。歌うソルトさん。
ベースの下支えはここでも効いています。
陽介さんのソロでは、今度はベースが歌ってるよう。
左手はクモが糸を伝うように上がったり下がったり。
ソルトさんが演奏の間をあけて遊んでいます。
アイコンタクトでついていく陽介さん。
笑っています。
曲の最後の決めにベースの音を出せなかったようで、終わってから陽介さんの「あ~~~」という悔やむ声。
ソルトさんが最後のフレーズをまた弾き出しました。
2度目はバッチリ決まったエンディング!
陽介さんは両手でテープをハサミで切る仕草。
MC
・コンサートでやり直しなんかしていいんでしょうか!?(笑)
・最近はクラシックを演奏する機会が多いです。小曽根さんに引き込まれました。小曽根さんは完全に足を踏み入れています。ぬかるみのような世界に。
・クラシックは弾いてて楽しいんですけど、すぐ壁が現れて、乗り越えてもまた行き詰まっての繰り返し・・・
・曲も作ってます。それを演奏して、こうしてお客さんが聴きに来てくれて喜んでもらえるというのは、アーティストにとってこんな幸せなことはありません。
・次は陽介さんの曲です。陽介さんはこう見えてロマンチストなんです。(陽介さん「こう見えて!?」)哲学者みたい。
ピアノのみでスローに始まり、メロディーへ。
2度目のメロディーからベースも入ります。
いい曲です。一気にしっとりと。
ベースソロ、ピアノソロも聴かせます。
ゆっくりとエンディングのメロディー。
最後もピアノのみになって、フェイドアウトのように。
MC
・時間が意外と経ってます。喋りすぎかな?1部はあと1曲。
・陽介さんに「次はグルグル回るやつ、いきますよ」陽介さんが回る。「あなたが回るんじゃなくて!」(のようなことがあったと思います)
軽快なピアノ、心地よいベース。
メロディーから展開部に移って、ソルト音が全開です。
ソルトさんは歌ってます。
フレーズが回って回って回りながら落ち着いたら、ベースソロへ。
乗ってる陽介さん。「パパッとライス」のようなフレーズも出ました。
声を出して笑うソルトさん。
陽介さんは長めのブレスをとって遊んでいます。
笑う2人。
合わせていたソルトさんはとうとう弾くのをやめてしまいました。
ベースを叩き出した陽介さん。
負けずにソルトさんもピアノを叩き始めます。
一体何のライブなんだ!?
ピアノのメロディーが回ります。
ベースも回転が加速。
盛り上がって盛り上がって、エンド。
20:03~20:27 休憩
MC
・緊張してます。・・・2部だというのに何を言ってるんだ?ウソです。緊張はしなくなったけど、気持ちは純粋ですよ。
・「次も陽介さんの曲なので本人から説明してもらいましょう。実はよく喋るんですよ、この人」と、マイクを陽介さんに渡す。
・(陽介さんが「Soft Cookie Walts」の説明)ウチにクッキーというミニチュアシュナウザーがいまして、もう10歳のおじいさんです。元気がなくなってきてこの曲を書いたんですが、悪い歯を抜いてからまた元気になって、今はどちらかと言うと「Hard Cookie Dance」の方なんですけど。
・(「Soft Cookie Walts」を始めかけた陽介さんが「あっ!」と叫んで演奏中断)この曲は僕の「LIFE」というアルバムに入ってます。アルバムではソルトは弾いてないんですけど。ギャラが高かったので(笑)
陽介さんが続きを弾き始めます。
ソルトさんは両手でテープを切る仕草。
ベースもピアノも「ワンワン」と鳴きながらメロディーが進んでいきます。
弓で奏でられるベースは少し哀愁を帯びて、その泣き声は哀しげ。
ピアノによる展開は今日も聴き応え充分。
曲の広がりを感じられて、私は好きなところです。
ソルトさんはここでも口ずさみながら。
ベースでのメロディー、ピアノでのメロディーと続いて、最後に小さく泣いてエンディング。
ソルトさんが弾き始めると陽介さんは楽譜をめくって笑ってます。
本当に何の打ち合わせもしてないのでしょうね。
ピアノで導入してベースのメロディーへと続きます。
やがてピアノにメインが移り、たくさんのソルト音を生み出し、ねばり、弾きまくり状態に。
それを支えるベースのリズムはシンプルがゆえにマッチしていて、とってもかっこいい。
クールダウンして今度はベースのソロ。
負けずに弾きまくる陽介さん。
「Ladies In Mercedes」のフレーズも混じったりして。
指が上に下にと忙しく動いて、引き込まれてしまうプレイでした。
客席からは熱い拍手。
次は2人のかけ合い。
自由で楽しそうに8回続きました。
また陽介さんはベースを叩き、ソルトさんはピアノを叩きます。
譜面台を弓で鳴らしてしまう陽介さん。
ピアノは止まりかけて再開したり、もうしたい放題の様相。
そんなに合わせていない、演奏経験も多くないと思われるこの曲でのこの自由さは、そうそうできることではないでしょう。
やっぱりすごい人たちです。
MC
・もう何でも弾きますよ!何でも喋りますよ!
・こないだの「スタジオパーク」は観ましたか?AGA-SHIOで出たんですけど、カイロでカイロ持ってる写真やローマで坂本龍馬になった写真が全国ネットで映ってしまいまして、「ダジャレピアニスト」と思われてるんじゃないかと・・・。もうこれで突っ走ろうか?
・次は僕よりギャラがずっと高い小曽根さんの曲です。あんなすごい人はもっと大御所でいてほしいんですよね。歳が5つしか違わない。陽介さんとは2つですか?刺激をたくさん受けています。
ピアノのみから始まって、Bメロからベースも入ります。
さっきとは変わって2人とも静かにしっとりと。
本当に何でも弾いてしまう人たち
私のこの曲のイメージは、派手さはないけどしっかりと地に足を付けて前を向いて進んでいく感じ。
素朴とまではいかないが、この道を信じて歩いていく。一人でも孤独ではない。
ピアノがメインのパート、ベースがメインのパート、演奏を聴くたびにこういうシーンが浮かびます。
エンディングに向けてのリピートも歩いていく姿とマッチします。
最後にベースが決まって、2人がピタッと合ってエンド。
MC
・シリアスな曲でした。ワルツのような。テンポキープを意識しなくても弾ける、クラシックのような自由な曲。
・(ソルトさんの話がまた長引きそうなので待っている陽介さんが手や足を動かし始めました。それに合わせるようにソルトさんが)手を動かしたりね、足を動かしたりね。運動したり(すると陽介さんが逆にそれに合わせて運動し出す)回ったりして(陽介さんが回る。そして「何をさせるねん!」という仕草のツッコミ)
今度は深い曲です。
ピアノから始まって、2度目のメロディーからはベースも。
その後の両者の短いかけ合いが好きです。
さりげなさそうで、でも情感がこもっているベースの音。
続くピアノの展開でもっと深くなっていきます。
熱を帯びて、訴えかけてきて、クールダウンした後にベースのソロ。
切ない音が並びます。
ピアノがそれをスムーズに引き取って、再びメロディーへ。
このあたりの2人の表現力、同じ世界を見ているからできるのでしょうね。
最後もピアノとベースが絡み合い、フェイドアウトでエンド。
MC
・こういう深い世界もあります。
・次の曲を考えてるソルトさんが陽介さんに「次は"あれ"やりましょうか?」
陽介さんは笑いながら「"あれ"じゃわからないよ。"あれ"でわかれば年寄りカップルみたい」
・ソルトさんが"あれ"って何ていうんだっけ?と聞くと客席から「指示代名詞」という答えが。
・普段の会話は指示代名詞と擬音ばっかりですからね。中味がないんです。
ライブ本編の最後はやっぱりこの曲です。
ピアノソロ用に書かれた曲がトリオでこんなに盛り上がってしまうとは。
デュオでも大丈夫のはず。
2度目のメロディーからベースが入り、加速がかかります。
時折ベースを叩いて音を出す陽介さん。
テンポが上がってきて、ピアノも熱くなってきました。
次第に大きくなる客席からの手拍子。
ベースのシンプルなリズムに乗ってピアノが踊っています。
ソロになってベースは大暴れ。
チョッパーも飛び出して、拍手が起こります。
陽介さんは弾きながら、ベースをまたもやくるくる回し出しました。
それに合わせてソルトさんも弾くのをやめてクルッと回っています!
客席との一体感。それにも乗せられて2人はヒートアップ。
会場内は熱い音で埋め尽くされていきます。
そしてとうとうエンディングへ。
今日も見事に盛り上がって終了です。
アンコール
陽介さんはステージ上のコード?をジャンプして飛び越えて登場です。
ライブでは久しぶりに聴くような。
これもソルトさんが弾いていくうちに熱くなってくる曲です。
しゃれているメロディー。
これが徐々に熱を帯びてくるところがいいんです。
心地いいベースに支えられて攻めるピアノ。
ベースのソロにラテンテイストのピアノ。
モチーフが繰り返されるベースが印象的です。
ピアノはエンディングに向けて今日も盛り上がり、突然終わりを迎えました。
MC
・時間は大丈夫?じゃ、もう1曲やります。
・2人とも小さい子がいて、ウチは1歳4か月で陽介さんとこは9か月で、最後は子守唄を演奏します。この曲を作ったときは子どもはいなかったんですが、優しい暖かい気持ちになってほしくて作りました。2人の父がお送りします。
これもライブのクールダウンにはぴったりの曲。
小さい子ができて演奏も変わってきたのでしょうか。
そこまではよくわからないけれど。
ピアノの優しい音。
ボンボンボンと響き渡るベース。
静かにライブは終わっていきました。
21:49終了
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