塩谷哲 ピアノ・ソロ・コンサート 2008 in Nagoya(名古屋市千種文化小劇場)

塩谷哲 ピアノ・ソロ・コンサート 2008 in Nagoya(名古屋市千種文化小劇場 2008.5.11日曜日)に、思い立って行ってきました。
まずは

Song List
1.Earth Beat
2.Do You Still Care?
3.Waltz For Debby
4.Mr.Tap-man
(休憩)
5.即興演奏(千種の母)
6.Bud Powell
7.Morning Bliss
8.Deep Affection
9.Spanish Waltz
(アンコール)
10.Forest

もう、素晴らしかったです!この日のSALTさん。
「心に残ってるソロコンサートを挙げよ」という問題が出たら、この日のは確実に入ります。
(そんな問題、出題されてみたいですね)

「1曲目からEarth Beat!?」というのもあったし、なんせSALTさんの指から創り出される音がアップであれスローであれ、高音であれ低音であれ、ひとつひとつが意味を持って聞こえてきた感じです。

実はこの日、行く予定にしてなかったんです。。
昼前になってなぜか気になって「とりあえず開演時間を・・・間に合わないやろな・・・」と思いつつ調べてみたら、間に合ってしまうことがわかってしまって(PM5:30~)。
日帰りもできるいい時間です。。にくいね、この時間設定!(笑)
ということでなんだかんだ書きましたが、結局行ってしまいました。
(言い訳がましいな。誰に言い訳してるねん)

千種文化小劇場はすり鉢状のとてもいいホールで、そこのいちばん後ろ(=いちばん高い所)から、ゆったりとリラックスして聴いてました。
SALTさんから出るこの日の「波動」?と私のこのような状況がうまく一致したのかな、と思います。
どの曲も、とっても心地よかったです。

「間」(ま)をすごく感じました。
SALTさんは「音楽は音が鳴ってないときでも表現できる」という趣旨のことをよく話されます。
それも大切だと。それも音楽だと。

この日の演奏は各曲の随所に間が感じられました。
もちろん指が激しく弾んで音が次々飛び込んでくる場面もありました。
それがやがて自然~に、ゆったりと、本当に「贅沢に」間をとりつつ・・・

「間」というのは自信がないと取れないものだと思います。
それと客席との信頼関係。
観客の「一音たりとも聞き逃すまい。信頼してますよ。緊張しないで」という思いがSALTさんに伝わり、SALTさんも「じゃあ今日は安心して思い切って表現してみるよ」と応える。
どちらが先か、にわとりか卵かはわかりませんが。

ホールが持つ雰囲気も相まって、心を打つ演奏が生まれたのでしょう。

「Mr.Tapman」では演奏前のMCで「よかったら手拍子を」と言いつつ、イマイチ乗り切ってなかった客席にちょっとブレスを取って見回す仕草をして「手拍子して!」と軽く促し(笑。これも「間」)、ついには手拍子がすっかりパーカッションと化し、数小節弾くのをやめてパーカッションメインになったり、ちょっと難しいリズムを弾いてパーカッションを困らしてみたり、そんなこともあって信頼関係が築かれていったと思います。

(曲が終わって「いじわるしたのに、よくついてきたね!」と誉められました(笑))

その真骨頂が最後の「Forest」
私は元々大好きな曲でSALTさんを知った頃のことも蘇ってくる、思い入れがある曲です。
壮大な森をイメージさせる透き通った音。
同じメロディでも次のパートではちょっと力強い。でもみずみずしさは変わらない。

弱いのに強い、小さくても大きい、深い表現力で展開。
「間」に引き込まれます。

エンディングに向けて戻ってのゆったりとしたメロ。
SALTさんにしか出せない優しい音にジーンときます。
どうしてあんな音が出るんだろ。

最後もゆっくりとゆっくりと、そーっと大事に、大事に。
演奏が終わって膝に手が置かれても、しばらく静寂が流れ、余韻で拍手もできませんでした。

書いてたらまたそのときのことを思い出しました。。

ソロコンサート、SALTさんが手にしている表現力には目を見張るものがあります。
SALTさんもサイン会で「何か変わったでしょ」とおっしゃってました。
ピアノへの想い、自信、向き合い方、・・・それらが確固たるものになっていっていると感じました。

どこまで行くんでしょ、この人?

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