「塩谷哲トリオ ライブ 2014」The Seed And The Sower

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【The Seed And The Sower】(坂本龍一)

病気であることを発表された坂本龍一さん(ソルトさんの大学の先輩)に敬意を払って、映画「戦場のメリークリスマス」の中からこの曲をカバー。男2人がケンカしているシーンで流れる、インパクト溢れる楽曲。

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トリオ用に施されたソルトさんのアレンジは素晴らしいのひと言!この人にしか書けないし演奏できないと、痛烈に感じた。

山木さんの小刻みなマレットからスタート。何か不気味な感じが漂う。マレットはアフリカ民族的なものに変わっていく。

前ぶれなくいきなり始まるピアノ。破壊的なリフの繰り返しに面食らう。♪パパパパ、パパパパ、パーパーパーというシンプルなフレーズ。だが、思い切り不気味だ。それを忙しく弾くピアノ。そちらに目を奪われて、ベースやシンバルに気づくのが遅れる。

♪パパパパ、パパパパ、は低音でくすぶる感じ。続く♪パーパーパー、が何とも怖ろしい。陽介さんが弓で弾くベースの効果が十分に加味されている。でも、オーケストラではなくトリオなのに、こんなに表現できるものなんだなあと、毎回感心して注視していた。

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細かい話だが、何度もリピートされる♪パパパパ、パパパパ、で押さえる鍵盤の位置のパターンは微妙にいくつもあった。シンプルに2回目で繰り返し、4回目で繰り返し、などではなかったと思う。同じように聞こえるのに、細部まで注意を払われた演奏。素人意見で恥ずかしいが、音楽の深さを見た気がした。

果てしなく続くのかと思われたリフが終わるとともに、曲調もマイナー色が一段と濃くなる。♪パーパーパー、の雰囲気を引き継ぎつつ、スローに流れるピアノ伴奏。ケンカに負けてよたよた歩く男のようだ。その上に展開されていくピアノ。

よたよたはずっと続く。これまた終わらない。そこに重なっていくもう一つのピアノは、最初はゆっくりとした、悲しさも混じった音。しかし、時間をかけて徐々に強く、早くなっていき、何かを主張し始める。「やっぱり俺は悪くない!」か「アイツやっぱり腹が立つ!」か。

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ここらへんの演奏はさすがだなと感じた。こういう「じわじわ来る系」はソルトさんの真骨頂のうちの1つ。一緒にじわじわ来るベースとドラムも聞き逃せない。

そして再び破壊的なリフ。ケンカ再開だ。じわじわからのコントラストが効いている。すごいぞ!殴り合いだ!早くなって、大きくなって。ドラムも♪パパパパ、パパパパ、と叩いている。ベースの弓も一層激しく。最後に♪パパパパ、と鳴って急に終了。

この世界観には、本当に圧倒された。同時に、ソルトさんがこの曲を好きだというのが大いに納得できた。

(♪パパパパ、ばっかり書いて何のことかわからないですよね)

(坂本龍一さんに関するMC項目)
・映画「戦場のメリークリスマス」のときは高校生。当時の文化祭で映画を撮ることになり、音楽を担当したが、作った曲が「戦メリっぽい」とみんなから言われた。

・龍一さんとはデラルス時代にスペインのセビリア万博で一緒になって挨拶したけど、覚えてるかな?「若いやつはつぶさなきゃな」と冗談を言われた。

・(この曲のことは)常人では書けない曲。ハマった。かっこいい。近代音楽の香りがする。ロシアの作曲家が書いたみたいな曲。

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