塩谷哲 ピアノコンサート 2009 solo piano = solo salt tour (兵庫)

「塩谷哲 ピアノコンサート 2009 solo piano = solo salt tour」
日時:2009年7月2日(木)19:05~21:27(休憩15分)
会場:兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール
出演:塩谷哲

ソングリスト

1.Life With You / 「SALT」
2.Don’t Know Why (Jesse Harris) / 「solo piano = solo salt」
3.2つの「メヌエット」(J.S.Bach ?) / 「solo piano = solo salt」
4.「インヴェンション」より第1番 (J.S.Bach) / 「solo piano = solo salt」
5.Three Views Of A Secret (Jaco Pastorius) / 「solo piano = solo salt」
6.Mr.Madonna / 「solo piano = solo salt」

休憩15分

7.即興演奏
8.Walk Alone (Makoto Ozone) / 「solo piano = solo salt」
9.組曲「工場長の小さな憂鬱」 / 「solo piano = solo salt」

アンコール

10.Preciousness / 「solo piano = solo salt」

※以下、あくまでも私個人の感想です。よろしければお付き合いください
※MCのところは、大体このような内容だった、ということを書きました。また、全ては書ききれておりません

チケットを買っていた大阪・浪切ホールに事情で行けなかった私には、2か月ぶりのコンサートとなりました。

この兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホールはアリーナ形式で、全てが木造り、音響効果抜群のきれいなホール。
壁面の曲線や溝の入り具合は、旧フェスティバルホールのように音の響きと密接に関係があるのでしょう。

本番前の練習で時間を忘れて弾いていた、と以前ソルトさんが言っていました。
ここで聴く組曲はどういうものになるのだろう、と期待して行きました。

ソルトさんを迎える拍手がとても響いています。
気持ちいいだろうな。

1.Life With You / 「SALT」

いい音です。スローに始まって小さい音まで響きます。
さりげなくメロディへ。やっぱりいいなあ、この曲。

1コーラス終わって、一瞬の静寂。
再び始まるメロディ。スローに。
そして展開へと入っていきます。

自由です。
やがて暴れ出したピアノ。音が多いです。
この曲の展開としては初めてではないでしょうか。
音響が良すぎて、思わずそっちの方向に行ってしまった、そう感じました。

そこから自制心が働いて?でもメロディアスな調べは続きます。

やがてスローにメロディに戻って、ゆっくり、丁寧に続きます。
ブレスも利いて最後のフレーズ。
決まってエンド。

今夜は何か起きるかも、との予感。

MC

・360度から見られて照れますね。上からも見てる。全部見えるでしょ。今日はピアノのフタを取ってありますから。マイクもないし、ピアノの本来の音を聴いてもらえると思います。
・ソロアルバムのツアーは今日と明後日の東京の2本で最後です。ちょっと間があきまして、6月は一度も弾いてないんです。
・ここでは何度か弾いたことがありまして、素晴らしいホールです。ピアノのいろんな表情を表せます。
・「Life With You」は1stアルバムに入ってる曲です。何度も弾いているうちに発酵してくるんです。自分が変わってくるのにつれて。それが自分でもおもしろいし、そのまま出るのでこわくもあります。
・今回ソロアルバムを作りまして、楽譜できちんと表現できるものをと思って。書いてて「こんな音、ホントに弾けるのか?」と思いましたけど。
・どっち向いて喋ったらいい?こっち見るとこっちが背中になるでしょ。(小刻みに回りながら)回って喋るといいんだね(笑)疲れるよ!時々振り向きますから。
・次の曲はシンプルゆえに心に響く曲です。
・(弾く前に突然背中方向に振り向く(笑))

2.Don’t Know Why (Jesse Harris) / 「solo piano = solo salt」

ピアノのメロディ、ブレスで足でタップ、ピアノ、ブレスで指を慣らす、その音がよく響いてます。
曲の最初からのこの足と指を使ったパフォーマンス、キマっています。

間を長く取ったり膝も叩いたり、もう自由自在。
低音に支えられて右手が活発に跳ねます。

次第にせり上がり、盛り上がってから、最後は優しく終わります。

臨場感がプラスされ、アレンジも演奏も完全にソルトワールドでした。

3.2つの「メヌエット」(J.S.Bach ?) / 「solo piano = solo salt」

前の曲が終わって、遅くなったお客さんが数人入ってきました。
メヌエットを弾きかけて、それに気づいたソルトさんが「どうぞ」のポーズ。
客席から笑いが漏れて和やかになります。

優しい音です。
弾き手によって全く違った曲になる、というのが実感できます。
技術的なものだけではなく、心の中が現れてくるのですね。

最後、チョンと鳴って終わるところがオシャレです。

MC

・「メヌエット」がバッハじゃなかったと後でわかりまして、楽譜集にはそう書いたんですけど。バッハの曲番号には「BWV」が付くんですが、バッハ作曲じゃないかもしれないときは「ANH」というのも付くらしいです。誰の曲であろうといい曲はいい曲です。
・次の曲「インヴェンション」はピアノしてる人なら誰もが通る曲です。二声の曲なんですが、概念を大切にして、メロディのもう一声を増やしています。
・基本的にドミソの曲なんですけど、今まで何回か間違えてます(笑)練習なら弾けるんですよ!練習を見に来てください。

4.「インヴェンション」より第1番 (J.S.Bach) / 「solo piano = solo salt」

オリジナル、アレンジの順に演奏。

ソルトさんからオリジナル版を聴くと「ちゃんとしたピアニストだったんだな」と思います。
「ちゃんとした」はとても語弊がありますが(すみません)、耳馴染みのある曲を基本通りに弾いているソルトさんは、ある意味新鮮です。

いつもはアレンジの仕方や曲の構成、音の出し方など全て引っくるめて「ソルトライブ」。
しかし「インヴェンション」オリジナルのときは音しか違わないので、そこに集中して聴ける…
音だけしか違わないのに曲の印象が変わるのを実感できる…
ピアノという楽器の奥深さを再認識…

うまく書けませんが「新鮮」を分析するとこういうことかな。

アレンジバージョンはすっかり「ソルトライブ」です。
ソルトさんが味付けするとこうなるのか、というすごさと嬉しさと納得。

全体を通して優しく、ドラマティックな構成。
強弱、メリハリに引き込まれます。

演奏後の様子から見ると今日は間違えてなさそうです。
(私には耳で判断できる力がありません)

5.Three Views Of A Secret (Jaco Pastorius) / 「solo piano = solo salt」

心地いいです。よく響いています。
遊ぶ右手に、左手がついていきます。
その指の動きの細かさ、切れのよさ。

椅子から体が浮いて、大きい音。
ブレスがあって、流れを継いでいるけど優しいというか芯があるというか、そういうその次の音がいいんです。

シンプルな低音をベースに広がる世界。
ブレスを効果的に交えながら収束に向かいます。
膝に手が置かれて、そこで終わり。

MC

・ジャコ・パストリアスの曲でした。彼はちょっとおかしい人で、いい意味でですよ。死んでしまって残念です。
・死んでしまったと言えばマイケル・ジャクソンですね。では追悼して1曲…って弾けないよ(笑)、踊って弾こうか?
・スーパースターであるがゆえの孤独さを抱えていたと思います。残した遺産はとても大きいです。命のはかなさを感じます。
・命と言えば先日長男が生まれました。寝られないんです(笑)泣くことで自分を表現しているのだなと感じます。
・(いろいろあって)…音楽を作っていく意味を考えて…次の曲につながりませんね(笑)こういうの竹善はうまいよね。なんせ次は「Mr.Madonna」ですから!どうやってつなげるんだ!

6.Mr.Madonna / 「solo piano = solo salt」

膝を叩いてステップを踏んで、手拍子も交えながら、ピアノへ。
ピアノの下も叩いてリズムを出します。

ボーンボーンから始まるピアノフレーズの繰り返し。
ソルトさんが笑います。「(今のは)ちょっと違ったっけ」
照れ隠し?にマイケルのように「フォー」と叫んで会場から笑い。

いつになく軽快です。
低音がズンズンきます。
時折挟まれる指鳴らしがまた、カッコイイ。

今度はスローになってから、右手のフレーズが順に高音へと移動していきます。
右端のギリギリいっぱいまで到達して、次は鍵盤のないところをわざと叩いて「あれっ」という声。
逆に順に低くなっていきます。

佳境になってテンポアップ。
超早いです。ステップも早い。
指の動きが追えないくらい。
疲れないのでしょうか?あらためて思いました

なんかトリオで聴いたときみたいな盛り上がりです。
大きな拍手が湧き起こりました。

(20:07)

休憩15分

走って登場です。通常の入口から。

MC

・ホントに1か月ぶりなんです、人前で弾くのは。やっぱり気分がいいですね。

7.即興演奏

右手のメロディ、左手が追いかけます。
小さい音がベースになっています。

ゆっくりゆっくり進んでいきます。
小さい音を中心に。
音響を楽しんでいるかのよう。

ここでは強い音は敢えて要らない、響くホールとも一体になってどこまで表現できるかやってみたい、というように私には映りました。

全体を通して優しくて安らかな即興演奏。
あまり聴いたことがない、貴重な演奏でした。

MC

・このホールは響きが美しすぎます。あまりガチャガチャ弾かずにいったら、こうなってしまいました。
・次の曲はカバーです。マコトオゾネという人の。ちょうど今、大阪のビルボードライブに来てますね。ピアノも喋りも何もかも素晴らしいです。5つしか違わないのが信じられない。逆に5つしか違わないのが嬉しいとも言えます。
・原曲はストリングスが入ったバラードなんですけど、スローボッサにアレンジしてみました。

8.Walk Alone (Makoto Ozone) / 「solo piano = solo salt」

今日は左手の伴奏が控え目です。
これも音響を意識してのことでしょうか?わかりません。
おとなしい「Walk Alone」。
これもなかなか興味深かったです

最後へ向けては熱がこもります。
思わず引き込まれるせり上がりは見事。
メロディに含まれる凜とした強さと相まって、何とも言えない感じ。

最後はリピートされ小さくなっていき、エンド。

MC

・Oz Meets Jazz!(笑)
・「solo piano = solo salt」を唱和するのを忘れてましたね。これ言いにくいんですよ。キャンペーンで各地のDJに言ってもらいました。
・ここはサラウンドになりますよ。(ソルトさんの指揮に合わせて2回繰り返し)「こんにちは、さようなら」みたいな感じですよ。テンポ上げていこう。笑い声が邪魔です。1つになろう!(6回繰り返し)いいねえー、えも言えぬ一体感ですねー。
・組曲を弾きます。20分あります。クラシックのコンサートじゃないので咳はいいですけど、笑い声はダメです。
・(組曲7曲の説明)ボクはパリジャンなのでモーリス・ラヴェルに憧れて…。「うつつと夢」は現実・夢・現実という構成になっています。など。
・(低音のある音を鳴らしながら)最後はこの音で終わりますからね(笑)もし感じるものがあったなら「ワーッ」となってもらえれば嬉しいです。

9.組曲「工場長の小さな憂鬱」 / 「solo piano = solo salt」

組曲をライブで聴けるのもこれが最後かも、と思いながら。

それぞれの曲にちゃんと顔があって、何度聴いてもドラマティックです。
音響のいいこのホールでは、それが増幅されます。

クラシックを滅多に聴かない私にとって「組曲」は馴染みがない存在でした。
このアルバムとコンサートのおかげで組曲というものの一端に触れられました。

劇的な物語が本当にMCで言っていた音で終わって(当たり前ですが)、会場は拍手に包まれます。

アンコール

MC

・久しぶりの人前での演奏は不安で「弾けるのかなあ」と思いましたが、終わってみると大丈夫でした。ライブから遠ざかると、自分とピアノとお客さんの関係を疑ってしまうんですが、音楽の楽しさを実感できました。ピアノ1台なのでごまかしができないんです。
・SALT&SUGARのアルバム「インタラクティブ」が8/19に出ます。ちょこちょこ作ってたトリビュートの曲がたまってきて、あと何曲か作ればアルバムを出せるね、ということになって。
・竹善さんとお互いに作詞作曲しました。詩が先で後から曲をつけて。これはおもしろかったです。普段見られない一面が見えます。
・東京で毎年やってる「Saltish Night」のライブ盤も同時発売でビクターから「コンサートII」として出ます。いろいろなアーティストとコラボレーションして、みんなからだ自体が楽器みたいなんです。中低音なんかすごいです。これを聴くと成長がわかるので嬉しいです。
・最後の曲は尊いもの、ボクにとっては音楽ですが、尊いものへの感謝の気持ちを曲にしました。今日はどうもありがとうございました。

10.Preciousness / 「solo piano = solo salt」

澄んだはっきりした音が響きわたります。

ゆっくりと丁寧に。
優しい音はいつも以上に気持ちを伝えているように感じます。

耳に心地よく残る残響。
思いとピアノと音とホールが一体化して、一つのものを表現しているよう。
その空間の中にソルトさんも私たちもいます。

最後の一音まで聴き逃したくない、そんな静けさに包まれて、膝が手に置かれました。

(21:27)

ホールの響きにソルトさんも客席も乗せられてしまいました。
特に静かに響く即興演奏は興味深く「ああいうのは初めてだったね」とソルトさんもサイン会でおっしゃっていました。

数年前から行われているピアノソロ・コンサート。
その活動を通してピアニストとしてのソルトさんの中に何かが生まれ、ピアノソロアルバム発売に至りました。
そしてそのアルバムを記念した今回のコンサートツアー。

この、フィードバック、自己振動のような波は、ソルトさんを今後どう変えていくのでしょうか。

組曲は年に一度は聴きたいなあ。

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